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梁のたわみ計算ガイド
梁のたわみ計算ガイド|【梁 たわみ 計算 方法】
梁のたわみ計算を正しく行うことは、機械設計における強度評価と信頼性設計の第一歩です。本稿では片持ち梁・単純支持梁・両端固定梁を対象に、中央一点荷重、等分布荷重、端部モーメントなど全荷重ケースのたわみ式を一覧化し、長方形・円形・中空円形・I 形鋼断面に共通して使える断面二次モーメントの算出式を整理します(材質は SUS304 を想定、JIS G 4303)。
1. たわみ計算の基本式
弾性曲げ理論より、梁の曲げ線形は
で与えられます。ここで
:たわみ量 [mm]
:梁軸方向座標 [mm]
:曲げモーメント [N·mm]
:縦弾性係数(SUS304 の代表値
MPa)
:断面二次モーメント [mm4]
2. 断面二次モーメント
の計算
- 長方形断面(幅
、高さ
)
- 円形断面(直径
)
- 中空円形(外径
、内径
)
- I 形鋼(フランジ幅
、ウェブ厚
、フランジ厚
、全高
)
3. 支持条件・荷重条件別 たわみ最大値 
3-1 片持ち梁(先端自由, 根元固定)
- 先端一点荷重
- 全長等分布荷重
- 先端曲げモーメント
3-2 単純支持梁(両端ピン)
- 中央一点荷重
- 全長等分布荷重
- 集中モーメント
を中央に作用
3-3 両端固定梁
- 中央一点荷重
- 全長等分布荷重
- 端部モーメント
(両端同方向)
4. 最大曲げ応力 
梁中央断面の曲げ応力は
ここで は中立軸から最大繊維までの距離(長方形断面では
)。SUS304 の許容応力は用途により異なりますが、JIS B 8270 の設計基準を参考に安全率を設定してください。
5. 設計フローとチェックリスト
- 荷重条件と支持条件を整理し、曲げモーメント図を描く。
- 選定断面の
を算出し、上記式で
と
を求める。
- 規格許容値(変形限度・材料強度)と比較し、断面寸法または材料を最適化。
- 必要に応じてたわみ許容値(例:L/250)を図面に明記。
6. まとめ
本ガイドを用いることで、複数の梁形状・支持条件に対したわみ量と最大応力を短時間で評価できます。材料物性や荷重条件が変わっても、基本式と断面係数を正しく適用すれば普遍的に使えるため、設計初期段階での断面最適化とコスト低減に役立ちます。